アショカフェロー
ある漁村で、その冬の漁獲量が極端に減り村民が貧困に陥った場合、彼らに無償で食料や衣服や医療や教育を提供することで、村民を救うことができます。
しかし、他の数万の漁村でも同じことが起きていたら、どうしたら良いのでしょうか。
この疑問から発したのが、「(万人の利益のための)システム・チェンジ」(Systems Change (for the good of all)) という考えです。
一つの村ではなく、似通った数万あるいは数百万の村を救うためには、水面下にある(問題を生み出している) 共通の構造的な欠陥に光を当て、新たな構造をつくり出すという解決策が求められます。
この構想の生みの親であるビル・ドレイトン (Bill Drayton) は、彼の描いたシステム・チェンジメーカーの基準に適ったグロリア・デスーザという教育者をインドで発掘し、1980 年、第一号の「アショカ・フェロー (Ashoka Fellow)」として認証しました。
デスーザの編み出したEVS 教育メソッドは、フェロー認証から3 年以内にインドの1600 小学校に、そして、数年内にインド全国の小学校に導入されました。
ASHOKA は、同年この活動の母体として、米ワシントンDC で発足し、設立4 年後までに、36 人を「アショカ・フェロー」として認証。
孤軍奮闘する彼らに財政支援だけではなく、時には彼らを政治的な身の危険から守る強力なネットワークを築いていきました。2023 年7 月時点で、約4,000 人のアショカ・フェローが、97 カ国で選出され、活動しています。
アショカ・フェローのうち、74% が選出から5 年以内に国家レベルでの法律改正を実現させており、90% が他のNGO や政府に模倣されています。
また、3 年間の生活費を受け取ったフェローのうち85% が5年以内に自身の生活も取り組みも成り立つようになったというデータが出ています。
各フェローの取り組みの分野は、教育 23%、医療& 健康 17%、経済開発 17%、環境 12%、 人権 12%、市民参加 10%、ジェンダー平等 4%、テクノロジー4%、高齢化社会 2% と様々 です。
また、ここ数年教育分野のフェローが世界的に増えている一方、全体の 89% ものフェローが、 若者を巻き込む何らかの取り組みを始めているのが、特徴的です。
選考はゴールではなく、始まりです。
選考のプロセスは、単に合否を決めるためのものではありません。
候補者は、自らのアイデアが社会にどんな変化を起こしうるのかを語り、その方法や戦略を見直しながら、リーダーとしてのあり方を問い直します。
この過程では、議論が深まり、発想が磨かれ、新しい視点が生まれます。選考そのものが、成長と学びの舞台となるのです。
こうした積み重ねの先に、世界最大級の社会起業家ネットワークが広がっています。
Selected in
+95 countries
アショカ・フェローシップの選考プロセス
推薦:
アショカ・フェローシップの5つの基準に基づき、スタッフ、ボランティア、パートナー、アショカ・フェローおよび推薦人からの推薦を受け付けます。
ネットワークを通じての推薦が主ですが、自身はアショカの基準を満たしていると考えるソーシャル・アントレプレナーからの自薦も歓迎します。
最初の評価:
各カントリーオフィスのスタッフが、候補者の取り組み分野の専門家を交えて候補者と面談し、推薦された取り組みがアショカの基準を満たすソーシャル・イノベーションであるかを審査します。
第二の評価(セカンドオピニオンインタビュー):
次に、ソーシャル・アントレプレナーシップの分野で経験豊富なアショカの上級代表者が、現地のベンチャーチームとともに候補者の取り組みを審査します。
第二評価者となる面接官は、候補者とは異なる大陸の出身者でなければなりません。
これによりプロセスの客観性を確保するとともに、その取り組みのアイディアが他の国や地域においても普及・浸透し得るかを評価することができます。
第二評価者となる面接官は、そのアイディアがセクター全体に既存システムの変革をもたらせるか、また、候補者がアショカの基準を満たしているかについて、徹底的に議論を重ねます。
ローカルインタビュー:
さらに同じ国/地域出身からの3~4人の有力なソーシャル・アントレプレナーとビジネス・アントレプレナーが候補者と面談します。
これらのアントレプレナーは、イノベーションとイノベーションが現地にもたらす潜在的な影響力について、審査します。その後、グループとしての委員会が招集されます。
この委員会では、第二評価者がファシリテーターを務め、委員会としてこの候補者を理事会に推薦するかどうか、全会一致で決定します。
理事会による最終審査:
理事会では、これまでの評価を参考にしながら、更に審査を進めます。
候補者が基準を満たしているか、アショカの理念に合致しているかを審査し、フェロー選出の最終判断を行います。